第3回地域交通人材育成アカデミー:講演会を開催しました

2023年12月8日(金)東御市総合福祉センター3階講堂にて、第2回・第3回東御市における共創による地域交通人材育成アカデミー講演会を開催いたしました。

第3回講演会は講師として、兵庫県豊岡市より株式会社アンズケア代表取締役の秋山一平(あきやま いっぺい)氏をお迎えし、ご講演いただきました。

理学療法士として2019年、リハビリ特化型デイサービス「アンドリハ」を創業した秋山さんは、介護タクシー事業を行う地域モビリティカンパニーとして(株)アンドモビリティを設立。

豊岡市福祉モビリティプロジェクトと協同した、福祉車両の相乗りサービス「ちょい乗り500」実証実験についてもお話しいただきました。

地域交通において、過疎化よる地域交通の需要減、運営効率化の遅れ、運転手の不足などさまざまな課題があります。

兵庫県豊岡市は谷と山間部が地形のほとんどを占め、介護福祉サービスの送迎でも効率的に巡回することが難しいことが課題の一つです。

豊岡市の福祉モビリティプロジェクトは、これら地域の移動に関する課題解決を目指す取り組みとしてスタートしました。

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福祉送迎車の空き座席を利用した交通サービス「ちょい乗り500」

豊岡市福祉モビリティプロジェクトでは、福祉デジタル送迎網の構築と混合送迎による「ちょい乗り500」の実証実験を2021年から開始しました。

ちょい乗り500とは、デイサービス利用者が、非通所日に送迎車の空き座席を利用して、1回500円で移動ができる仕組み。送迎車の「空き席」に相乗りしてもらい、スーパーや病院など行きたい場所に移送。公共交通機関の少ない地域で、交通弱者と呼ばれる高齢者の移動手段となります。

ちょい乗り500は「自家用有償旅客運送制度」を用いて、豊岡市が登録。通所施設の職員・施設の送迎車が区域を限定して送迎。施設の従来の送迎ルートに利用者宅を追加することで、運用にかかる人員やコストを削減し、利用者にとっては安価で移動できる利点があります。

2022年には地域交通共創モデル実証プロジェクトに事業採択され、福祉デジタル送迎網の構築と混合送迎による「ちょい乗り拡大実証事業」を展開。

介護タクシー事業を行う(株)アンドモビリティを設立し、地域モビリティカンパニーとして運行・マネジメントを担い、豊岡市の3つの事業所で利用者を相互に送迎する実証実験を行いました。

ちょいのり実証実験拡大モデルでは、介護福祉サービス事業所のスタッフが運転手、介護福祉士が管理・運営。豊岡市福祉モビリティの「自家用有償旅客運送制度」とデジタル交通システム「福祉Mover」を活用して運用します。

デイサービス事業とモビリティサービスを同時に行う相乗効果として、スマホアプリの操作方法も、細やかに利用者に伝えられ、気軽にサポートを提供できる点が挙げられます。

今後も豊岡市では、医療介護事業者によるモビリティネットワークを活用し、デイサービス送迎の活用、介護タクシーへなど新しい地域交通網の拡大を予定。

デイサービスの回送車を活用して、地域の児童を習い事に送るなど、「福祉デジタル交通網を活用した子ども移動支援」など地域の交通課題の解決を目指します。

講演後の質疑応答では、「市の境界を跨いでの送迎についてはどのようになるか」「システムの不具合などリスクへの対応は」「利用者の満足度は」等の質問が寄せられ、参加者からの関心が高まりました。

実証実験とその効果をお話しいただき、地方でも地域それぞれのリソースの活用し、将来の交通課題解決の可能性を感じられる講演会でした。

秋山 一平〈あきやま いっぺい〉氏
株式会社アンズケア  代表取締役

  • 2012年 理学療法士国家資格取得
  • 2012年 神戸マリナーズ厚生会病院勤務
  • 2019年11月 株式会社アンズケア設立
  • 2020年3月 リハビリ特化型デイサービス「アンドリハ」 開業
  • 2021年3月 介護タクシー「アンドタクシー」運行開始
  • 2021年9月 豊岡市における「ちょい乗り500※」実証実験開始
    ※デイサービス車両効率活用による高齢者外出支援

合同会社まるごとは、長野県東御市での地域活性化の取り組みとして、地域の交通に関する課題解決を目指し、他の地域の成功事例を学ぶ全8回の講演会を計画しています。

デジタルを活用した地域活性化、まちづくりなどの取り組みに少しでも関心のある方はどなたでも講座にご参加ください。

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