2023年11月17日(金)東御市総合福祉センター3階会議室にて、第1回東御市における共創による地域交通人材育成アカデミー講演会を開催いたしました。
講師には、富山県黒部市より一般社団法人SMARTふくしラボ プロジェクトマネージャー/富山県黒部市社会福祉協議会 経営戦略係の小柴徳明(こしば のりあき)氏をお迎えし、「地域×福祉×交通で作る 新しい移動のしくみ」と題して、黒部市におけるクロスモビリティ事業、さらに外出支援と介護予防を組み合わせた新しい福祉サービス「Goトレ」の実証実験について、ご講演いただきました。
地域の交通リソースを活用た黒部市クロスモビリティ事業
一般社団法人SMART(スマート)ふくしラボは、社会福祉法人黒部市社会福祉協議会から派生して、福祉分野のDXを促進する組織として、2022年4月1日設立されました。
講演の中では、全国的に課題となっている福祉業界の人材不足について、また、福祉現場の業務の生産効率を上げるために、デジタル化の取り組みが不可欠であり、また、行政・企業が連携協力して課題解決を目指す重要性をお話いただきました。
地域の交通リソースを活用し「移動」の課題を解決する取り組みとして、黒部市におけるクロスモビリティ事業をご紹介いただきました。デイサービスなど、福祉施設の送迎にデジタルシステムを導入することで、業務の効率化・負担軽減を目指すプロジェクトです。
外出が介護予防プログラムになる取り組み「Goトレ」
続いて、外出支援と介護予防を組み合わせ、地域資源をフル活用し「地域をまるごとデイサービス化」する新しい介護予防プログラム「Goトレ」の実証実験についてお話いただきました。
実証実験では、介護予防体操プログラムなどで公民館やサロンに集まった方々に、公共交通を使って自主的な外出を行っていただき、身体的・精神的健康、社会的なつながりの向上などを効果測定。GPS付きの機器とデジタルシステムでデータを管理します。
外出し、買い物・食事・おしゃべりなど行動することが、要介護状態の発生を防ぐ(遅らせる)トレーニングになり得るだけでなく、高齢により免許返納となった後の生活に生かす「公共交通の利用訓練」にもなっていくとのことでした。
講演後の質疑応答では、参加者から「利用者個別のニーズへの対応」「Goトレの対象を女性だけではなく、男性とした場合の外出プログラムは」「運営体制や財源について」等の質問があがりました。
地域のリソースを活用し、介護福祉だけにとどまらず「移動」の課題を持続可能な形で解決するための、たくさんのヒントをいただける講演会となりました。
小柴 徳明〈こしば のりあき〉氏
一般社団法人SMARTふくしラボ プロジェクトマネージャー
富山県黒部市社会福祉協議会 経営戦略係
- 平成 15 年、黒部市社会福祉協議会に入社。ボランティアコーディネーター、地域福祉、民生委員などの担当を経て総務課に配属。赤い羽根共同募金改革や広報改革プロジェクト、近隣社協との連携事業などを担当。
- 平成 27 年に新設した経営戦略係として法人の基盤強化、経営の中長期ビジョンの策定、シンクタンク事業の立ち上げなどに取り組む。地域福祉分野における ICT利活用研究、社会参加や地域の見える化などが関心ごと。
- 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ソーシャル ICT システム研究室の協力研究員を兼務。
合同会社まるごとは、地域活性化の取り組みとして、地域の交通に関する課題解決を目指し、他の地域の成功事例を学ぶ全6回の講演会を計画しています。
デジタルを活用した地域活性化、まちづくりなどの取り組みに少しでも関心のある方はどなたでも講座にご参加ください。